QUAD ESL63の修理再び [AUDIO]

1995年に当時のQUAD代理店のハーマンインターナショナルで交換した5枚のエレメントのうち1枚がついに故障してしまいました。(当時、エレメント1枚の交換に必要なコストは25000円程度。今は随分高くなってしまいました。)
 
この世代のエレメントは接着剤が改良されているのか、今もステーターと電極基板の接着がしっかりしています。このエレメントは電極部分が外から見て銅色です。私の手元にある電極部分が緑色のエレメントは95年修理以前からあったもので、数年前にすべての接着剤が劣化してしまい、エレメントと電極が剥がれ、全面的な修理が必要になったのと比べて、長寿命と想像できます。
 
  • エレメント ESL63の発音体の単位。ESL63は2個のミッドハイ用エレメントと2個のバス用エレメント、合計4個のエレメントで出来ています。
  • ステーター 固定子の意味。鳥かご状のエレメントの外枠構造。プラスチック製
  • 電極部分 ベークライト製の基板。表面の銅箔面が電極になってて、ステーターとは接着剤で固定されています。
分解すると、ダイヤフラムに大きな穴は開いていませんが、全体的に劣化してきているようで、このエレメントからノイズ音が出ていました。
 
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連休中に時間を確保する事が出来たので、張替です。

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修理前のエレメントの表面抵抗を確認。参考値として重要。
 
ダイヤフラムのマイラーフィルムにテンションを掛けるための治具にも新たな工夫を加えました。ESL57用に用いられていた錘を使った治具の簡易版です。ESL63用のエレメント作成用の治具は空気圧を用いてテンションをかけていたようです。(ESL63用の治具は、すでに英国に無く、CHINAのIAGの工場に送られてしまった模様…) 
 
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ESL63のダイヤフラムとなるマイラーのフィルムにどの程度の張力をかけるかは、諸説あり、本当のところは判りません。ESL63の製造期間が長かったので、途中で変更になっている可能性もあると思います、とにかく、かなり強い張力をかけて、フィルムがピンと張った状態にする必要があります。フィルムを軽く指で押したくらいで、フィルムが電極面に当たってしまうくらいではNGです。

写真を撮り忘れましたが、新しく作成したエレメントの表面抵抗は、オリジナルと同等レベルにする事が出来ました。

ステーターとダイヤフラム(Du Pontのマイラー)との接着を如何に強固行うかは、以前から課題としていましたが、今回、国内で入手しやすい接着剤で好結果が得られた(最終的な判断は数か月後になるでしょうが)のが、大きな成果でした。

完成したエレメントは単体でテストしています。ESL63を1台つぶしてテスト専用の治具としているので、確認作業が楽です。
 
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これ全体が文中のエレメント、白いプラスチックの部品がステーターです。 
 
単体動作OKだったので、ESLに組み込みます。今回交換したミッドハイは、もう一台と比べて、同等の音圧と音質が出ているので修理結果OKでしょう。単体テストOKなようでも、修理に不完全な点があると、そのエレメントのみ音圧が低い、全体的な音圧が下がる等、色々なトラブルの原因となります。

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