AVファン的にPSEマーク問題を考えてみる [家電]

AVファンのソフトウェア資産、ハードウェアの資産価値、ビンテージオーディオの歴史的価値が危険にさらされています。(この問題は、この程度に矮小化されるべき問題ではないのですが、それは後日扱います)

http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/index.htm

平成11年に電気用品取締法が電気用品安全法(新法)に改正され(平成13年4月1日に施行)、規制対象製品にはPSEマークを表示することが義務付けられました。

経産省消費経済部長の谷みどり氏の消費者情報
http://eco.goo.ne.jp/business/csr/offer/people/people10_1.html

http://blogs.dion.ne.jp/tanimidori/archives/2846299.html
担当した方が、Blogを公開しております。-> 閉鎖されましたが、中身はまだ生きているようです。

情報通の方なら、新法の関係で、既存のオーディオ用に販売されていた電源ケーブルやテーブルタップ類が販売できなくなり、一時期、オーディオ店から、殆どの電源関係のアイテムが消えたのをおぼえてらっしゃると思います。また、PSEマークをとるための試験には100万円単位のコストが掛かるため、あまり販売数の見込めない海外の機械については、日本国内での販売が見送られるようになりました。QUADの99シリーズが日本で正規輸入販売されていないのは、そのせいではないかと思っています。(ある種の非関税障壁になっているように感じます。)

個人的には、意味のある規制や試験であれば、やる事は賛成です。海外製品の安全基準は日本のそれとは同一ではありませんので、日本国内でテストを行う必然性があるのならば、やるべきでしょう。もっとも、欧米の安全基準は日本に負けず劣らず厳しいものです。一部の粗悪な工業生産国の商品は別として、欧米諸国の電気製品にこういったテストをすることの必然性が、私にはよく理解できずにいます。

さて、最近になって、新法の影響範囲が、新規に販売される商品だけではなく、中古品の販売にも影響する事がわかり、いろいろな業界が騒然となっています。(2005年11月に、いつにまにか、拡大解釈された。という説がありますが、まだ、当方では、確認が取れていません。)

現在、普通に発売されているものを使えばよいと思われるかたも、多くいらっしゃると思います。ですが、たとえば、音楽家の方にとっては、ビンテージの電子楽器、アンプ等は音作りに大きな影響を与える大切な楽器です。アナログ時代のシンセサイザーでしか出せない音は存在するのです。工作機械などは、何十年も使う事を想定したもので、機械加工などを行う中小の町工場では、死活問題となりかねません。地方医療を支える小規模な病院のお医者さんが使っている医療機器も多くの場合はコストの問題で中古品なのだそうです。

私のようなオーディオビジュアル愛好家にとっては、
・過去のフォーマットとなり、新機種の販売が望めない、Beta方式ビデオ、レーザーディスクの再生機などの入手が困難になる。(現在所有している機材が、故障して、修理不能の場合、代わりの機材が入手できない
・現在のオーディオ機器とは異なる音楽再生能力を持つ、ビンテージのアンプやLP再生用のターンテーブル等の入手が不可能になる。機材だけでなく、再生環境の喪失により、ビデオテープやレコードのようなソフトウェアの中身までも失ってしまう事になる。ある意味、焚書のようなものです。(極端すぎますか?
・ビンテージのオーディオ機器は、文化財的価値を持つものも多いが、販売できなくなる事により、業者の在庫がゴミとして廃棄されてしまう危険性すらある。これは、オーディオの歴史的資産に対するテロ行為に等しい。また、販売店の経済的損失は計り知れないものがある。

消費者と(大げさに言わせていただくと)文化の継承者の立場から、意見表明を行いたいと思います。ありがたいことに、音楽家の坂本龍一氏、高中正義氏、松武秀樹氏、椎名和夫氏が発起人となり、日本シンセサイザープログラマー協会が、“電気用品安全法(PSE法)に対する署名”を行っています。是非、問題意識を持った方々は、署名にご協力ください。

http://www.jspa.gr.jp/pse/

現状では、この法律は、個人間売買に抜け道があるなど、ザル法になりそうな側面も見逃せません。世の中の中古電子機器市場が大きい事、経済や産業界に対する影響が大きい事を全く知らない役人が作った法律なのではないかと思います。

ただ、以下の点も忘れるべきでありません。
現実問題として、製造後、長い時間を経た電子部品は劣化により本来の性能を発揮できなくなります。オーディオの中古品を扱う店でも、充分なメンテナンスを行わす、何時壊れても不思議が無いような粗悪な品質のものを扱っているものもあります。特に高電圧を扱う真空管アンプなどは危険でしょうね。販売店から購入した商品がこういった状態だと思う消費者は少数派でしょうから、危険な事と思います。(判っている人が、ジャンク品に手を出す分には、問題ないのですが)

少なくとも、業者は業者なりの責任ある販売行為が必要なのではないでしょうか?個人間売買については、なかなか難しいでしょうが、たとえば、中古電気製品を扱う業者には、古物商に加えて、何らかの資格や販売物に対するテスト項目、テストができる人間の資格の設定などが考えられるのではないでしょうか?

Yahooオークションなどでは、個人が修理に失敗し手に負えなくなった故障品が、ジャンク品・ノークレーム、ノーリターンの元に流通していますし、素性の知れない個人修理品が動作品として売られており、上記の技術のない中古ショップより危険性が高いと感じます。

現状公開されている情報の範囲でPSE法が運用された場合、よりいっそうこの傾向は酷くなり、オークションや個人間売買が危険な電気製品の流通の温床になる危険性が高いでしょう。出品数を基準に業者と個人の線引きを考えているようですが、複数IDの取得や複数名義の利用など非常に簡単なわけで、お粗末な検討としか言いようがありません。

悪法になりそうな、電気用品安全法(PSE法)はいったんリセットして、本当の意味での消費者保護になる法律を検討するべきです。


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コミュからです。

おもしろそうなブログですね。
ゆっくり拝見させていただきます。

個々人が自身のブログ等でこの法律の問題点について論じるのは大事な気がします。

>>ただ、以下の点も忘れるべきでありません。
以降のフォローも大切ですよね。

ほんとによい方向にいくことを願ってやみません。
by コミュからです。 (2006-02-19 07:57) 

厚樹

今回の法案は基本的に外郭団体のJETやJQAでの認証手数料収入を
上げることにポイントがあるようです。つまり認証を工場単位から製品単位に
下げる事が出来、かつ認証がされない中古は排除できるので天下り利権
的になる訳です、消費者保護の観点で進めるなら、消費者保護ではないと
槍玉に挙げられる地デジ移行の告知活動よりもっと派手に行っているはずです
が、実際は官報と5年で数十回のこじんまりとした会合のみ。
そもそも中古が対象になったのは5年前ではなく昨年の11月です。
そう、あのファンヒーターの頃ですね。
リコール相当のファンヒーター欠陥を「演出ネタ」にする事により中古は危険と
いう曖昧な意識を刷り込ませて裏事情を見えなくしている辺りに悪意を
感じます・・・・。
一応JSPAの反対署名活動には参加しましたが・・・どうなるんでしょうかね。
by 厚樹 (2006-02-19 13:13) 

YAS

mixiから、ありがとうございます。

中古ショップや個人間売買の場が増えたことにより、古い電気製品の流通の場が増えたので、今までの野放し状態ではだめなのだと思います。が、今やろうとしているやり方では、誰も幸せになれないのが目に見えているように思います。

>> 厚樹さん おひさしぶりです。

そういう分析もあるようですね。

個人的には、中古の電気製品の規模、世の中に対する影響の度合いをまったく理解していなかったのではないか?せいぜい、街の中古ショップやオークションや、そういったレベル程度の考察しかできていなかったのではないかと考えます。ええ、頭の悪い意味での主婦的発想というやつですね(笑

かくいう私も、加工機械などはすぐに頭に浮かびましたが、医療器具などついては、まとめサイトなどを見るまで思いつきませんでした。
by YAS (2006-02-20 00:40) 

林檎太郎

「10年以上経経過している中古製品等を点検しない場合使用禁止」というのならまだ理解できるが、ここ数年の「S-Jet」「電取法」に適合した商品まで規制するのは如何なものか。有名大学出身のの馬鹿役人の考えそうな事ですね。
 私も色々な商品を分解してみますが、現在の某国製の商品より一昔前の日本製の方がよっぽと部品・メンテナンス等を考えて作っていると思いますが。
 高い料金を払って認可を取らなくとも、自己責任で出来るというところは評価できますが・・・。
by 林檎太郎 (2006-03-01 15:37) 

NO NAME

>修理をすると新たにPSEを取得しなければならない。
とのことらしいですが、それは、PSEのな無い輸入オーディオ製品を修理に出すと、オーディオメーカ(または輸入代理店)が新たにPSEをとってくれないと修理もできないってことですか?
メーカ(または輸入代理店)が親切に個々にとってくれるとは思えないし、壊れたら最後ってこと?それとも考えすぎ?
どなたか知る人教えてください。
by NO NAME (2006-03-09 18:02) 

YAS

>> 林檎太郎さん
同感です。
でも、中小の中古品販売店が、PL法に近いレベルで品質保証は不可能でしょう。現状、販売側も購入側もリスクに対する考えが甘いままでやっているのは問題だと思います。

>>NO NAMEさん
引用されている“>修理をすると新たにPSEを取得しなければならない。”といった、記述は当Blogの記事の中には無いようですが???

現在、所有するものを修理する事については、特に問題は無かったと思いますが、情報が大きく混乱しているようですね。
by YAS (2006-03-09 19:17) 

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